それは、2年前の11月の事でありました。うちの町内は男性陣がとても仲が良く、毎年11月に小旅行も兼ねて少し早めの忘年会をやるのが恒例なんです。(12月になるとお店はどこも一杯になるし、各々の会社の付き合いもあるのでなかなかメンツが揃わないので11月にやるのって意外と穴場でお勧めですよ!)
その年は、順番で私が幹事の番だったのでネットやグルメ本を駆使してリーズナブルで美味しい物をと張り切りました。ようやく理想の場所を予約して10人でいざ旅行へとあいなりました。
ワンボックスカー×2台に便乗し、行楽を楽しんだ後はメインイベントの忘年会です。会場はビジネスホテルから徒歩でいける範囲で選んだ割烹です。(グルメ本では安くて美味しい魚を食べさせる事で評判とありました。)
店に着くと外見は成る程、築50年位の割烹だった。1階はお店で2階・3階が座敷だった。私たちは3階の座敷に通された。そこは床の間付きで10畳位の和室でした。中に入ると掛け軸も生け花も何も無いこじんまりとした部屋だったが、ただ1品だけ写真と良く似た感じの九谷焼の大皿がドンと飾られていたのだった。
九谷焼 13号飾皿 色絵巣籠文(宮本忠夫)
部屋には他に何も無かったので否応無くその皿が目に入った。とにかくでかくて図柄も良く、高そうなのだ。おまけに2人の仲居さんはビシッと着物を着込んでいるではないか。大皿と言うのは作るのが難しくて尺(約30cm)を超えると途端に値段がハネ上がると言う。
これには一同、度肝を抜かれ『うわっつ!高そう』とか『オイ、オイこの部屋一体いくらするんだ?』とか口走っていた。
私が予約したのは1人¥5000の会席形式の料理とお酒は別途で飲んだだけと言う事だったのだが・・・
これは、正直『やっちまったかな?』と思い、料理が運ばれて来る前に『済みません、こんな雰囲気の店だから幾らボラれるか分からないので皆さん最悪¥20000位の出費は覚悟して下さい。』と素直に詫びた。
一同、ここまで来たらしょうがないので精一杯美味しい物を頂こうと言う事になり、この場をぶち壊したのか盛り上げたのか分からない大皿を肴に忘年会を楽しんだ。
評判通りに料理も大変美味しく酒も美味しかった。いつもは酔っ払って大騒ぎする人達だがこの日はとても静かで大人の飲み方をしていた。これもこの部屋の雰囲気と料理のなせる技か?これで値段が安かったら申し分ないのになあ?と思いつつ忘年会もお開きとなり、いざ御勘定!さあ、いくらボッタくるんだ?なんぼや?・・・一同、シーン・・・
な、な、なんとやっぱり予約通りの1人¥5000だけだったのである。一同、ドテッツ!
それにしてもあの大皿には大人10人が見事にだまされた。全く酔えなかったのである。たった1枚の皿で店も料理も格が一つ上がってしまった。皿が凄いのか選んだお店が凄いのか?未だに謎だ。
絵柄は先の様だったが大きさはこれ位あったと思う。
九谷焼 18号飾皿 割取花鳥
九谷焼には色んなバージョンがあって写真の様な豪華な金彩の物もあります。
・ 九谷焼 9号 皿 金彩鶴 北村 隆 (竹隆窯)
本当に安かったので皆2度ビックリ!その後は浮いたお金でオネエチャンのいるお店で飲みなおし、バカ騒ぎしたのは言うまでも無いだろう。
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