ウッドボックス「こんなん釣りに持ってくの?」
ある日、ボックスの問い合わせがありました。
(この記事は本人に承諾を得て記載しています)
(本文中の荒い言葉ずかいはフィクションです)
山谷様
今日はOOOです。
折り入ってお話があるのですが、
販売コーナーのBOXなんですがね両開きなど何でも良いんですけど
もっと大きいのが欲しいんですが、何かいい物有りませんか。
・・・・(省略)・・・・
難しい問い合わせですね〜 (^^;
何故なら、本体はある程度の数が無いと指物師の方が作ってくれないのです
どうしてもと、言うと単価がかなり高くなってしまいます。
そこで、現行ウッドボックスの二段重ねを提案しました。
OOOさんは快く了解して頂き、仕上げに関しての話に移ります。
相談を重ねる毎に話は膨らんでいきます。
そこで、幾つかの条件(キーワード)が出来ました。
(1) 私にしか出来ないもの(俺しかよ〜やらん物)
(2) 変わり塗り(研ぎ出し等の漆塗り)
(3)
螺鈿(貝張り)
(4) 蒔絵(金蒔絵)
(5) 中、外、両面に変わり塗り(漆塗り)
(6) ボックス二段重ね
(7) 蝶
(8) 家紋
注文多すぎるやん !
(笑)
ここまでの話だけでもえらい物になりまっせ! (^^;
「俺しかよ〜やらん物」と、言われて真っ先に浮かんだのは堆漆、漆研ぎ出し等
そして、イメージが徐々に出来上がってきました。
蓋上のベースに漆錆び塗りで凹凸を付け
更に、漆を塗り重ね研ぎ出しで仕上げる。
そこに、堆漆で作った雲を浮かべる
使う堆漆はなるべく模様が複雑に出るものを選びました
これが、少ししか無い材料だったため失敗すると後が無い
・・・ほんまは、これで作品作ろうと思ってたのに・・・ぶつぶつ・・・・
その上に、金蒔絵の龍を描き、手には螺鈿の玉を
!
(最初は、琥珀を使う予定だったが大きさが合わず螺鈿に変更)
堆漆を取り付けた状態で蒔絵師へ持って行ったのだが
凹凸が邪魔で描きにくいと愚痴を言われてしまった(^^;
蒔絵師さん、ちょうど急ぎの仕事を抱えていた所
無理やりのお願いです(^^;
蓋裏に家紋の漆研ぎ出し
細かい模様の家紋なので、もうちょっとで失敗するとこやった !!
自分で言うのもなんですが、なかなか良い色合いになったと思います。
「意外と手間かかってるんやで〜分かるか?分からんやろ〜な〜」(笑)
中は、木目沈金で仕上げる
(最初の予定は根来、曙だったが・・・渋めに仕上げたい私の独断で変更)
ここは、ハッキリいってめっちゃ!
手間が掛かってしまった
慣れない仕事はするものではない ?
・・・黙って根来にしとけば良かった・・・後悔先に立たず・・・(T_T)
その後、メールのやり取りで・・・
彼 「これから、もっとすごい事になるのですか?」
・
彼 「ここから更に手を入れるのですか?」
・
「こら! それって、俺にプレッシャーかけとんのか
!」
これ以上手を入れていくと、こてこてのエグイ?ボックスになってしまうやん !
「・・・えっ! なに ! エグイのがええんかい?」
「そ〜か! そ〜言う事ならやったる ! 」
「請求書見て ! ちびっても知らんで〜
!!」 (笑)
ハンドルは布張りに漆を塗り重ね研ぎ出しで仕上げました。
ハンドルの辺りに螺鈿の蝶を飛ばす。
これも、蒔絵師が苦労したらしい・・・
そんな訳で、予定には無かったものだが・・・
ボックスの外は、叩き塗りに金のぼかし
!
蝶だけでは少々寂しかったため追加した
ぼかしの内側にも金が入っていますが写真では分かりませんね。(^^;
これが、中々良い感じに仕上がったと思うのだが
?
彼 「この次はどうなるのですか?」
まだ、言うとんのかい ! 分かったやったる
!
「これが最後や ! もう手入れる所ないで
!!」
最後に、これも予定外だが二段目の裏に
紅葉押しにぼかしの白檀塗りを施す。
これで、全面変わり塗りに調子に乗りすぎて、こてこてのボックスです(笑)
「ほんま、しつこい兄ちゃんやで〜
! これで文句無いやろ
!!」
仕上げに、補強と保護のために
各コーナーに菊釘を打ちアクセントとする。
*注意*
本文の中に荒い言葉ずかいがありますが
実際は丁寧な受け答えをしております
発注者承諾の上でこの様な書き方をさせて頂きました。
「○○さん ! あんたの仕事はもうせ〜へんで〜 !!」
(爆)
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