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ギャラリー 伽羅   

            香の伝播 香木展 U

香木に名を付けた天皇・勅銘香
桃山時代から江戸時代にかけて、香りの世界では素材となる香木の収集
に意が注がれました。

それを象徴するのが 織田信長による「蘭奢待」裁断で時の権力の象徴と
して、また数多くの香木を収集しました。

また 徳川家康の香木蒐集は、国内にとどまらず海外までに及んだ。東南
アジア諸国の国王に香木を求めて親書を送っております。家康の遺産として
膨大な香木の量が今につたえられております。

香の世界は、成立母体となった公家、武家、寺家などによる伝統貴族文化
として江戸時代においても上層社会で展開され、また そこでは香木に銘を
付けることが流行しました。

命名の最高位であったのが「天皇・上皇」による勅銘香であります。
その勅銘香を少しづつ分木(拝領)し、珠玉を集めるように大切に蒐集され
数々の銘香がつたえられております。
                  *勅銘とは 天皇自ら名前を付けること

 銘 「山路」 後水尾天皇勅銘

木所 伽羅 上中  甘苦辛酸
 証歌 風雅和歌集より 1499
   『都にはまだしき程の時鳥
        深き山路をたづねてぞきく』  為連
この香は大樹より  本院御所 献上之香
御皇 ききあそばされ 御所望にてまいらせ 後 山路と勅銘........
*大樹とは、将軍または征夷大将軍の異称 (徳川家康)

左より
銘  「常盤木」「志賀の山越」「棹鹿」「榊葉」

   銘 「大伽羅」 後西天皇勅銘

 九条家伝来

  銘 「蓬生」 (よもぎう) 後陽成天皇勅銘


  銘 「初雪」 後西天皇勅銘

付銘 歴代天皇             勅銘の一例
107代 後陽成 1586〜1611    「九重」 「夕月夜」
108代 後水尾 1611〜1629    「桃源」 「山路」 
111代 後西   1654〜1663    「初花」 「梅咲山」
112代 霊元   1163〜1687    「乙女」 「星合」
113代 東山   1167〜1709    「竹河」 「春の夜の夢」
115代 桜町   1735〜1747    「漁舟」
117代 後桜町 1762〜1770(女帝)「玉松
昔も今も銘香の伝播は、まことに魅力的な世界であります。

企画 香舗伽羅  ご高覧有難うございました。