ホームへ                           漆、とは?                                   

漆とは、漆の木の樹液
原木に引掻き傷を付けそこから染み出してきたものを
生漆と呼ばれふき漆、下地などに使われます、
更に、精製され顔料などを練りこんだものが塗りや、蒔絵などに使われます。

漆と聞くと塗り物ばかりが頭に浮かびますが、漆は酸にもアルカリにも強い性質もっており
縄文時代には矢尻と矢柄を籐で巻き漆で固める接着剤として
土器や木の補強のために塗ったりしました。
日本では9000年前の副葬品が北海道南芽部町垣の島B遺跡で発掘されています。
もちろん、強さだけではなく高分子塗料としての美しさも、もち合わせています
顔料を練りこみ装飾用として更に
仏像、仏壇、寺院建築と幅広く使われてきました。

漆って、こんなにいい所があります

天然の素材ですから毒性が無く、化学塗料のようにつんと鼻につくにおいがありません
ちょっと前から環境ホルモンて言う言葉よく耳にしますがそういったものは、一切でません、

先ほども書きましたが接着剤として優れていて
酸・アルカリ・塩分・アルコールなどの物質に侵されない耐水性・防腐性がすぐれています
他の塗料では真似できない、しっとりと、した質感、漆独特の艶
しっかりと作られた品物ならば数千年と言うのは
ある意味オーバーかもしれませんが、一生もんで使えます
万が一、傷、欠けなどが出来ても修理することもできます

また、漆(漆塗りを施した品物)には殺菌、抗菌効果があるようで
MRSA、大腸菌、サルモネラ、腸炎ビブリオ等の細菌が
4時間後に半減、24時間で死滅するそうです。


天然の木、樹液である漆
命ある木を切り、木を傷つけ漆を採取し
作り上げた品物、出来ることなら長く使いたいものです。


更に詳しく書くと・・・

漆は、ウルシオールと言うものが主成分で
ゴム質、含窒素物、水分から構成している天然高分子エマルジョンです。

漆の乾燥

主成分のウルシオールは石炭酸類似の二価フェノール誘導体で
これが、水可溶成分中に含まれる酸化酵素ラッカーゼーとの酸化によって重合反応をおこし
ウルシオールキノン、二重体に変化し
ウルシオール側鎖(油状成分)と結合、くさり状に繋がっていき網目構造の高分子を構成。
漆の乾燥とは、「乾く」ではなく酵素が高分子を形成する事なのです。

漆は乾固すると酸、アルカリ、アルコール等の薬品類や高熱にも耐える素質を持っています

精製

漆は樹液ですが、採取したままの状態では漆器(塗り)には使えません
木屑、塵埃が入っており質が均一でなく水分も多く含んでいます。

「なやし」 漆を摺り練り合わせて、質を均一にし
光沢を持たせたり艶を消す作業を30分〜5時間行います。

「くろめ」 
なやしの後、過剰な水分を取り除くため
40度から45度の熱をかけながら3〜4時間攪拌を行います
これにより、残留水分を2〜3%まで取り除きます。
最近では、MR製法により対候性が高く(紫外線に強い)変色等に強い漆も存在します。


その後、塵などの不純物を漉す事で塗りが可能な状態になります。


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